僕は人生で3度、男性から好意を持たれた事がある。
1度目は、大学生の時。
実家の近所にコンビニが出来、募集していたオープニングスタッフとして、僕はバイトを始めた。
その時、一緒に夜勤要員として入ってきた先輩Tがゲイだった。
初めのうちは「この人、ちょっとナヨナヨしているな」という気こそしていたが、ゲイという嗜好の方と実際にお会いした事がなかった為、Tの気持ちをわかってあげる事が出来なかった。
ある夜、交代で休憩しようという事になり、僕はバックヤードで仮眠をとっていた。
10分程 寝てしまっていたようで、目を覚ますと、Tのコートが肩からかけられていた。
気を聞かせてかけてくれたんだとも思ったが、なぜ僕のコートでなく、Tのコートがかけられているんだろうと少し疑問に思った。
Tにお礼をしに行くと、「風邪ひいたら、バイトで会えなくなっちゃうから」と返答され、再び違和感を感じたが男性の先輩としてしか見られなかった為、その日は改めて礼の言葉を言い業務に戻った。
数日後、他のバイトのメンバーと夜勤をしていると、真剣な顔で「Tがお前の事好きらしい。一緒に仕事していると、ドキドキしすぎて集中できないと」と言われ、あぁあの人はそういう性的嗜好を持っているのか、とこれまでの違和感に納得。
更に数日後、電話で告白をされたが、僕は女性にしか性的興味がないんですよと丁寧に説明し、お断り。Tは気まずくなったのか次の月にはバイトを辞めてしまった。
2度目は会社に内定した時
大学4年生の10月、僕は今勤めいている企業の内定式に参加した。
たしか30人近くいた同期と初めて顔を合わせ、人事部長のありがたい言葉を聞いた。
夜になり、誰が言い始めたのか、もしかしたら僕が言い出したのかもしれないが、同期全員で飲み会を行った。
その時、隣の席になったM。
彼もナヨナヨしているタイプで、物静かな男性だった。
しかし、30分ほど酒を飲んでいるうちに、気が大きくなってしまったようで、飲むわ食うわ毒舌吐くわでみんなに迷惑をかけ始めた。
僕は隣の男が、いきなり態度が変わってしまった事にびっくりしながらも、
女性にセクハラまがいの発言を繰り返す彼に落ち着くよう注意をした。
すると「俺は女が好きだけど、お前みたいな男の事も好きだ。酒の勢いでしか言えないけど、式の最中から気になってた」と全員に聞こえるボリュームで叫ぶM。
みんなが凍ったが、これは酒の勢いのせいだということにしようと考えた僕は
「男だろうと女だろうと、酒の勢いでしか本音を言えない人間はかっこ悪い。静かにしておけ」と言って黙らせる事に成功。
その日はそれ以上、騒ぐことは無かった。
後日、メールで改めて謝罪と好意を伝えられるが、大学時代にTにお断りを経験していた僕は、その時と同様に断り、今でも同期としてはたまに数人で飲む時に会ったりしている。
3度目は今の職場で
今の職場に上司として移動してきたSさん。
もうゲイとかバイの方を見慣れている僕には、初対面の時点で彼もそっちの人と分かった。
今回は告白みたいことこそされていないが、事あるごとに2人で食事に誘われたり、ボディータッチがあるので、適当に流すようにしている。
どういう人が好かれやすいのか
人の好き好きは、多種多彩だと思うが、少なくとも僕が好かれた理由は、「偏見を持っていないこと」だと思う。僕自身、ゲイ、レズ、バイの人に対して偏見とか嫌悪感みたいなのは無い。性的嗜好に限らず、宗教観とかでの偏見もない。
僕は無神論者だし、女の人は人並みに好きだけど、みんながそうであってほしいとは思わない。皆に言わせるとそういうのが、初対面からわかるようだ。
そういう、マイノリティな性的嗜好の方って、割と迫害されがちらしいので、僕みたいなのの存在が救いなのかもしれない。かと言って恋人として受け入れる事はないんだけど。
どうやって断れば良いのか
これは異性から交際を申し込まれた時と一緒。
素直に自分は何故付き合えないかを話すだけ。
「ゲイだから」とかそういうセリフは禁句だと思われがちだけど、
実際にそうならしょうがない。
だって僕からしたら「気が強いから」とか「太ってるから」とか、そういうのと同じレベルで「ゲイだから」ってのが自分と上手くいかない理由だから。
こういう「触れたら傷つけちゃうかも」って思われがちなマイノリティな性的嗜好でも、はっきりと「そこが自分と合わない」って言ってあげるべきだと思う。
僕はまだ3人からしか好意を持たれた事がないけれど、比較的円満な関係を築けているのは、変に意識しすぎてないからだと思う。
少ないと思うけど、ゲイの人から好きになってもらいたい人、ゲイの人に好意を持たれて断り方に困っている人は参考にしてください。